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アニマルウェルフェア:動物の幸せについて

こんにちは!JDBA認定ドッグトレーナーの清水です!

今回はアニマルウェルフェアについてお話します。



アニマルウェルフェアは日本語では「動物福祉」と訳されます。

国際獣疫事務局(WOAH)によると「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義されています。


wel「望みに沿って」、faren「生活すること」という単語の造語がwelfareであり、「望みに沿って生活する健康で幸福な状態」のことを指します。

「幸福な状態」をもう少し具体的に言えば、「苦痛・苦悩・不快を弱め、喜びを増やすこと」であり、動物を苦痛から解放し、正常な行動をとることができるよう環境を整えることが私たち人間の役割ではないでしょうか。

人が管理する家畜動物、伴侶動物は野生動物のようにすべてが自由に行動できるわけではありません。なるべく自然に近い形で、苦痛や苦悩がなく、正常な行動をとることができる環境を用意する必要があります。


○あなたの犬は幸せですか?


漠然と聞かれると少し戸惑うかもしれません。

一つの指標として、「ブランベル5つの自由-Brambell’s Five Freedoms-」があります。動物と暮らすなら、この5つの自由(権利)を保障しなければなりません。



ブランベル5つの自由

➀Freedom from Disease

疫病にならないことを保障する

→予防および的確な診断と迅速な処置


➁Freedom from Hunger and Thirst

空腹や喉の渇き、栄養不良に陥らないことを保障する

→健康と活力を維持させるため、新鮮な水および食べ物の提供


③Freedom from excess Heat and Cold

極端な暑さや寒さの不快にならないような環境を保障する

→快適な飼育環境、休息場所の提供


➃Freedom of Movement

物理的な動きの自由を保障する

→十分な空間、適切な刺激、仲間との同居


⑤Freedom to act our most natural behavior

自然な行動を自由に表現できることを保障する

→正常行動を発現できるよう行動を制限せず、心理的苦悩を避ける状況および取り扱いの確保(恐怖および苦悩からの自由とも訳される)

➀~③は注意を払いやすいが、➃と⑤はどうでしょうか。

ケージの中で過ごす時間が多ければ、➃は保障されていると言えるでしょうか?

物理的に動きを制限していることになりませんか?

刺激も少なくありませんか?

同居犬や飼い主と物理的に距離がありませんか?

⑤は動物の正常行動や習性を理解している必要があります。

散歩中に嗅覚を使えていますか?

匂い嗅ぎを制限しすぎていませんか?

「しつけ」と称してリードショックを与え、行動を抑制していませんか?

本当に抑制する必要のある行動ですか?


動物は生得的に正常行動実行への欲求を持ち、その抑制はストレスとなります。

苦痛を感じた時の最も重要な反応は、その状況を排除すること、その状況から逃れることです。

生理的な変化としては、自律神経系が覚醒されることから、アドレナリンや副腎皮質刺激ホルモン、コルチコステロイドなどのホルモン分泌に変化が起こり、瞳孔の拡張、血圧上昇、発汗、心拍・呼吸数の増加、体温の上昇、立毛などが見られ、いつでも行動できるように生理的興奮状態をつくります。

それでも苦痛から解放されない場合、苦痛は苦悩となり、葛藤行動や異常行動が発現します。

これらはすなわちストレスであり、過度な長期的ストレスは常同行動を引き起こし、健康状態にも影響します。


○あなたの犬の幸せにする


本来の行動ができる環境を提供しましょう。

よく「環境エンリッチメント」と言われるものです。動物本来の行動、正常行動をとれるよう動物の欲求を満たし、適正な刺激を適正な場所に配置し、飼育環境を多様化させることが必要です。

▷サークル出入り自由、または撤去

物理的な行動の制限をかけず、選択肢を与えましょう。


▷快適な寝床の提供

人間と同じ寝床でも構いません。自由に選択させてあげてください。


▷トイレは寝床から離れた場所へ

本来、犬は自分の居住スペースを排泄物で汚すことはしません。室内トイレは寝床から離れた場所へ、または外でのトイレへ。


▷噛んで良いおもちゃの用意

家具を噛むので噛む行動を止めさせる、だけでは行動を抑制してしまいます。噛む行動も正常な行動。欲求を満たすには噛んで良いおもちゃを提供してあげてください。


▷知育トイなど嗅覚や頭を使うおもちゃの提供

本来狩猟動物は、自分たちで獲物を探して食料を得ます。家庭犬ではそれができないため、知育トイを使用して欲求を満たしましょう。


▷散歩・運動

1日2回各1時間ずつ散歩に行きましょう(極端に怖がる犬の場合は除く)。飼い主が休みの日は遠出をしたり、ハイキングや登山もおすすめです。車で長距離の移動はストレスになることもあるため、休憩はこまめに。

実際のところ、散歩中もリードに繋がれているため、自由が制限された状態です。その中でもできるだけ自然な行動がとれるよう飼い主が配慮する必要があります。自由過ぎても問題行動となることがありますので、コミュニケーションをとりながら。

犬が幸せかどうか、これで判断材料が揃いました。

犬と暮らすのであれば、犬を知り、愛犬のことを知り、何が足りていて何が足りていないかを知り、必要な環境を提供してあげてください。



「犬にも選択肢を」


実行するのは愛犬の一番の理解者であるはずの飼い主です。



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